「散骨」を徹底解説!
- 散骨は違法?
- 散骨にかかる費用は?
- 散骨する際の注意点は?
墓じまいした後の散骨についての疑問が解決されます。

墓じまいした後の散骨って違法?
結論、墓じまいした後の散骨は”可能“です。
むしろ、墓じまいした後の遺骨の供養方法として、散骨は人気急上昇中です。
ただし、散骨には注意点や守るべきマナーがあるのが事実。
本記事では、墓じまいした後の散骨について、法律の考え方や手続き、費用やメリット・デメリットを解説します。
>>墓じまいのその後【完全ガイド】遺骨はどうする?供養方法8パターンを解説

墓じまい後の散骨は”可能”|ただし、違法にならないため基本ルールを守ること

墓じまいした後に、取り出した遺骨を散骨するのは、法律的にOKなのでしょうか?
結論からお伝えすると、散骨は法律上問題ないと一般的に解釈されています。

本当?散骨して逮捕されたくないぞ
正確にお伝えすると、散骨を禁止する法律が存在しないので「違法とは明言できない」状態なのが散骨です(2025年時点)。
ただし、遺骨をそのままの状態で散骨することは禁じられています*
散骨する遺骨は粉骨しておくことが必要です。
- *死体損壊等罪(刑法190条)
-
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
- 散骨に関するガイドライン
-
焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと
–厚生労働省–
現状、違法とも合法とも解釈されていないのが散骨の実情。
そのため、散骨をおこなうことは現実的には可能ですが、各自治体の条例や人々の道徳観に注意が必要です。
散骨するなら”粉骨”が必要
すでにお伝えした通り、遺骨をそのままの状態で散骨することは法律上不可能です。
そのため、散骨する前に遺骨を粉骨する必要があります。
※粉骨とは、遺骨を細かく砕いて粉末状に加工すること。
遺骨を粉骨することは個人では不可能なので、散骨する際は、必然的に散骨業者に依頼することが必須です。
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墓じまいした後、散骨する方法【4選】

墓じまい後の散骨にはいくつかの方法があります。
ここでは下記4つの散骨方法を紹介します。
海洋散骨
「散骨」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、遺骨を海に撒く「海洋散骨」ではないでしょうか。
墓じまいした後に海洋散骨する方は年々増えており、今後も増えていく可能性が高いです。
しかし、海洋散骨には下記ポイントに注意しましょう。
- 散骨できる場所は制限されている
- 海岸や漁場から離れた沖合に出る必要がある
- 砕骨は1~2㎜程度まで細かくする必要がある
ほかにも厳格なルールが決められているので、個人で海洋散骨を行うのは不可能です。
なお、海洋散骨は「個別散骨」「合同散骨」「委託散骨」の3種類から選べる業者が多いです。
- 個別散骨
-
1つの家族が船に乗り、沖合で散骨する散骨方法
- 合同散骨
-
複数の家族が船に乗り合わせて、沖合で合同で散骨する散骨方法
- 委託散骨
-
遺骨を散骨業者にあずけて、散骨を委託する散骨方法
それぞれで費用や方法が異なるため、墓じまいする前に散骨業者に確認してください。
森林散骨(森林葬)
森林散骨とは、遺骨を森や山林などに撒く供養方法です。
粉骨した遺骨を陸地に撒く供養方法なので、地域の自治体や近隣住民の迷惑になる可能性が高く、あまり普及していないのが実情です。
そのため海洋散骨と同様、森林散骨にも厳格なルールが定められています。
- 散骨する場所を慎重に選ぶ必要がある
- 遺骨の有害物質の除去が必要
- 山林の所有者からの許可が必要
- 撒いた遺骨に葉っぱや土をかぶせるのはNG!
上記注意ポイントがあるので、森林散骨を個人でおこなうのは不可能。
森林散骨を行っている業者を探して、法律上の問題もないことを確認しておく必要があります。
バルーン散骨
バルーン(大きな風船)に遺骨を入れて散骨する方法がバルーン散骨。
遺骨(遺灰)を気球にのせて成層圏付近(高度40~50㎞)まで上昇させ、風船が破裂すると遺灰が上空に散布されます。
なお、バルーンを飛ばすには条件があります。
- 10m四方の空間であること
- 周囲に障害物や高層ビルなどがないこと
バルーン散骨も、対応している業者が限られていますし、個人でおこなうのは不可能です。
専門業者を探して依頼する必要があります。
宇宙散骨(宇宙葬)
「宇宙散骨」という極めて珍しい散骨方法もあります。
宇宙散骨とはその名のとおり、遺骨(遺灰)を宇宙にお送りする供養方法。
- 月面まで遺骨を送ったり…
- 宇宙のはるか彼方まで遺骨を飛ばしたり…
宇宙散骨にはいくつかの方法があり、費用もそれぞれ異なります。
専門業者を探して、法律上の問題や倫理観などもご自身で確認する必要があります。
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墓じまいした”その後”の供養方法【早見表】8パターン比較

墓じまいした後の供養方法について、早見表をまとめます。
>>墓じまいのその後【完全ガイド】遺骨はどうする?供養方法8パターンを解説

墓じまいした後に散骨するメリット【3選】

墓じまいした後に散骨するメリットを3つ厳選しました。
お墓の管理が不要になる
墓じまいした後に散骨すると、お墓の管理が不要になるのがメリット。
“お墓”という形を必要としない供養方法が散骨なのです。
子どもや孫の代にお墓の管理を引き継ぐこともありませんし、お墓を放置してしまって無縁墓になってしまう心配もありません。
お墓の管理にかかる管理費も一切不要になります。
一方で、お墓がなくなると、お墓参りという行事もなくなります。
先祖に手を合わせて感謝する習慣がなくなる心理的デメリットがあることも忘れないでください。
改葬・永代供養より費用が安い
散骨の費用相場は5~30万円ほどと安いのがメリット。
墓じまいした後の供養方法でよくあるのが「改葬(新しい墓石を建てる)」と「永代供養」ですが、
改葬では50万円~150万円の出費、永代供養では1柱あたり数十万円の出費になるケースがほとんどです。
しかし、散骨には初期費用しか発生しないので、費用を安く抑えることができます。
もちろん、散骨の種類によっては高額になるケースもありますが、たった一度キリの出費。
遺骨を散骨してしまえば、それ以上の出費が発生しないのです。
長期的に見ると、散骨はオトクな供養方法といえるでしょう。
宗教・宗派を問わない
散骨のメリットには、宗教や宗派を問わず供養できることもあります。
お墓を建てる場合、仏教・キリスト教・神道などによって大きな違いがありますし、同じ宗教の中でも細かい相違点があるのが実情です。
しかし、散骨であればそういった縛りが存在しないのがメリットになります。
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墓じまいした後に散骨するデメリット【3選】

墓じまいした後に散骨するデメリットを3つ厳選しました。
家族や親戚に理解されにくい
家族や親戚に理解されにくいのが、散骨のデメリットのひとつです。
とくに、年配の世代は「遺骨を捨てるなんてとんでもない」と散骨に嫌悪感を感じる人も多いです。
散骨という供養方法は、近年新しく登場した方法なので、世代間で認識のギャップがあるのが事実。
散骨の存在そのものは知っていても、散骨を積極的に選ぶ人はまだまだ少数派でしょう。
墓じまいはただでさえトラブルになりやすいので、散骨についてもしっかり理解してもらうことが重要です。
お墓参りできなくなる
お墓という形が無くなるのも、散骨のデメリットのひとつ。
墓じまいした後に散骨すると、遺骨だけでなくお墓という「お参りの対象」も不要になります。
これまで当たり前のようにお墓が存在して、当たり前のように手を合わせられていましたが、散骨した後は故人と向き合う場所がなくなります。
墓石に手を合わせる時間に、亡くなった両親や祖父母を思い出す。
こういった機会がなくなるため、心にぽっかり穴が空いたような心境になるかもしれません。
お墓を取り壊すことに抵抗がある人は、墓石を残しておくことを推奨します。
天候に左右されやすい
散骨が行われる場所は、海や山など、居住地から遠く離れている場合がほとんどです。
たとえば、船で沖合まで移動したり、人のいない山奥に行ったりしなければなりません。
天候が良ければ問題ありませんが、時期によっては荒天が続く可能性も考えられます。
自然豊かな場所に行く際には危険が伴うため、慎重にタイミングを選びましょう。

信頼できる散骨業者を選ぶことが大切です
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墓じまいしたあとの散骨に関する注意点【2選】

墓じまいした後に散骨して後悔しないため、散骨に関する注意点を解説します。
散骨すると遺骨がなくなる
墓じまいした後に散骨すると、遺骨がなくなってしまいます。
散骨とは、遺骨を粉末状に粉骨し、海などの自然に撒く供養方法。
そのため、遺骨が物理的になくなってしまい、後から戻すことが不可能になります。

散骨したら後悔しちゃうかも…
なお、散骨を選ぶことになっても、遺骨を分骨して一部を手元供養する方法もあります。
分骨した遺骨を、アクセサリー等にいれて供養したり、小さな骨壺に遺灰を入れて保管することも可能なのです。
遺骨をすべて散骨するのではなく、分骨→手元供養することで後悔がなくなる可能性が高まります。
墓じまい後の手元供養については下記記事にてくわしくまとめています。

散骨する場所に要注意
遺骨(遺灰)は、どこにでも散骨できるわけではないです。
特定の場所でしか行えないのが散骨です。

粉末状に粉骨しても、どこでも散骨できるわけではないです!
故人が希望する場所で散骨したいと願う気持ちはわかりますが、
自治体から禁止されているエリア、人や自然環境に悪影響をおよぼすエリアでは散骨はNGです。
必ず、自治体のガイドラインを確認したり、専門知識をもった散骨業者に相談してください。
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墓じまい→散骨にかかる費用の相場

墓じまいして散骨する際の費用を紹介します。
墓じまい&散骨の費用・相場 | ||
---|---|---|
墓じまい 30万円~250万円(相場) | 墓石の解体・撤去 | 15~50万円程度 ※8~10万円/㎡程度 |
魂抜き | 3~10万円程度 | |
離檀料 | 5~15万円程度 | |
行政手続き | 数百円~1,000円程度 | |
散骨 3~30万円(相場) | 粉骨 | 1~3万円 |
散骨(個別) | 20~30万円 | |
散骨(合同) | 10~20万円 | |
散骨(委託) | 5~10万円 |
散骨にかかる費用は、3~30万円と散骨の方法によってバラツキがあります。
散骨業者や散骨する場所、粉骨の有無によっても費用が変わります。
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墓じまいした後に散骨するまでの流れ

墓じまいした後、散骨するまでの流れを解説します。
家族・親族に相談する

家族や親族に、墓じまいして散骨する旨を相談しましょう。
家族・親族に許可をとった後から墓じまいをスタートすることが大事です。
もし、相談もせずに墓じまいを進めてしまうと、後々おおきなトラブルに発展する可能性があります。
トラブルを避けるため、家族・親族から承諾を得たあとに、墓じまいを進めましょう。
墓地管理者に相談する

家族。親族に、墓じまい・散骨の同意を得たら、つぎに墓地管理者に相談しましょう。
とくに、寺院が管理する墓地に埋葬している場合、寺院(住職さん)に墓じまいの同意を得ることが重要です。
ほとんどの住職さんは墓じまいに協力的ですが、なかには墓じまいを許可しない住職さんもいるからです。
墓じまいをスムーズに進め、トラブルを避けるためにも、墓地管理者への相談を欠かさないでください。
石材店から見積もりをとる

墓石の解体工事をおこなってくれる石材店から見積もりをとりましょう。
見積もりをとる際は、2社以上から見積もりをとることをオススメします。
なお、墓地や霊園が指定する石材店がある場合は、複数の見積もりをとることはできません。
>>墓じまい代行業者13社【ランキング】費用・口コミ・失敗しない選び方を比較

新しい供養先を決める|散骨

お墓から取り出す遺骨の、新しい供養先を決める工程です。
本記事では、墓じまいした後、「散骨」をおこなうことを前提に、墓じまいの流れを解説します。
石材店と契約する

遺骨を散骨することを決断したら、見積もりをとっていた石材店と契約します。
役所で改葬手続きをする

墓じまいを進めるためには墓埋法で定められた書類手続きが必要になります。
手続きは墓地のある自治体・役所で行います。
墓じまいに必要な書類は下記の通り。
墓じまい(改葬)に必要な書類 | |
---|---|
改葬許可申請書 | 墓地のある自治体役所にて発行 |
埋蔵証明書 | 現在の墓地管理者が発行 |
承諾書 | 墓地のある自治体役所にて発行 ※墓地の使用者と改葬許可申請者が異なる場合 |
申請者の身分証明書写し | 書類の申請者の身分証明として発行 |
※なお、散骨は「改葬」にあたらないので、改葬許可証の発行は不要です。
お墓を解体・撤去し、墓地を返還する

墓石の解体工事および魂抜きの日程を決めましょう。
日程が決まったら、石材店に墓石を撤去・解体してもらいます。
墓地を更地にしたうえで墓地管理者に墓地を返還したら、墓じまいは完了です。
散骨業者の手配する

散骨を実施してくれる散骨業者を手配しましょう。
散骨方法によって業者が異なるので、よく調べて検討しましょう。
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散骨を実施する

お墓から取り出した遺骨の「散骨」を実施します。
なお、ほとんどの散骨業者では、遺骨を粉末状に粉骨してくれます。
事前に散骨業者と打ち合わせしたうえで散骨にのぞんでください。
※分骨したうえで散骨する方法
墓じまいで取り出した遺骨を「分骨」したうえで散骨する方法もあります。
分骨をおこなうことで、遺骨の一部を残して、一部を散骨することが可能になります。
なお、分骨は法律的に認められています*が、分骨をおこなうには「分骨証明書」が必要です。
その際、墓地の管理者に分骨を証明する書類を発行してもらう必要が生じます。
- 「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条
-
墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
–厚生労働省–
なお、墓じまいの流れについては下記記事でくわしく解説しています。
墓じまい後の「散骨」についてよくある質問
「散骨」は法律で許可されていますか?
散骨を直接禁止する法律はありません。しかし、散骨する場合は、節度とルールを守る必要があります。
自治体の条例を確認し、他人の土地や水源地、海水浴場などを避け、専門業者に依頼するのがもっとも安全です。
散骨にかかる費用の相場はどれくらいですか?
3~30万円ほどです。散骨のプランや業者によって費用は変わります。
遺骨はそのまま撒くのですか?
遺骨をそのまま散骨することはできません。必ず、パウダー状に粉骨する必要があります。
散骨した後は、どこに手を合わせればよいのでしょうか?
墓石のような特定の場所はなくなります。そのため、散骨した海域や方角に手を合わせたり、自宅に写真などを飾って祈りの場としたりします。
散骨することを家族や親族に反対された場合、どうすればよいですか?
なぜ散骨したいのかという故人の想いを伝えましょう。手元供養として、一部の遺骨を残すなどの提案をするのも一つの方法です。
散骨に立ち会うことはできますか?船が苦手な場合はどうすればいいですか?
はい、立ち会うことができます。また、業者に散骨を代行してもらう「委託散骨」という方法もあります。
散骨した場所を、後から訪れることはできますか?
散骨したポイントを海図(緯度・経度)で記録してくれる業者がほとんどです。その情報をもとに、後日その海域を訪れるメモリアルクルーズなどを利用できます。
「散骨証明書」とは何ですか?
いつ、どこで、誰の遺骨を散骨したかを記録した証明書です。
信頼できる散骨業者を選ぶためのポイントを教えてください。
実績が豊富か、料金体系が明確か、散骨に関するルールや法律を遵守しているか、丁寧な説明をしてくれるか、などを見極めましょう。
遺骨をすべて散骨せず、一部だけを手元に残しておく(分骨する)ことはできますか?
はい、可能です。散骨前に遺骨を分け(分骨)、一部は手元供養として残し、残りを散骨する方が増えています。
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墓じまい×散骨【まとめ】

本記事では、墓じまいした後の散骨について、法律上の考え方や費用、手続きやメリット・デメリットを解説しました。
散骨にはさまざまな種類がありますが、海洋散骨が一番メジャーな方法です。
遺骨を自然に還す供養方法である散骨には、供養方法に関する価値観が問われます。

本記事で散骨について理解したうえで墓じまいを進めましょう