- 改葬とはなにか
- 改葬と墓じまいの違い
- 改葬の種類や費用、手順など
改葬に関する疑問を解決します。
最近、テレビやニュースでよく聞く「改葬」という言葉。
お墓をなくすことだと何となく理解していても、”改葬”の本当の意味や”墓じまい”との違いなど、知らないことはたくさんありませんか?
本記事では改葬とななにか解説しつつ、墓じまいとの違いや改葬の費用相場など、改葬についてわかりやすく解説します。
改葬とは?
「改葬」とはお墓の引越しのことです。
今あるお墓から遺骨を取り出して、別の場所へ移動・引越しさせることを意味します。
たとえば、遠方にあるお墓を自宅近くに移動させる場合などが、改葬に該当します。
改葬を検討する理由
改葬を考えはじめる理由は、主に下記3点です。
お墓参りが困難になった
- 高齢になったのでお墓参りが困難、、、
- 遠方までお墓参りに向かうのが大変…
- 猛暑がひどく、お墓参りできない…
このように、お墓参りが困難になったのが理由で、改葬を進めるケースが増加しています。
子どもにお墓を負担させたくない
お墓の維持・管理を子どもに引き継がせたくないと考える親世代も増加しています。
とくに、遠方のお墓参りなど、お墓の管理に苦労した方が、子どもや孫世代に迷惑をかけたくないと考え、改葬を検討しはじめています。
お墓の費用負担が苦しい
お墓を維持・管理するためには、毎年の管理費やお墓参りのための交通費など、費用負担が大きくなります。
また、寺院墓地の場合、檀家としてお寺にお布施をお渡しする費用も発生します。
このような場合、改葬して自宅近くの墓地へお墓を移すことで、費用負担を軽くすることが可能になるのです。
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改葬と墓じまいの違いとは?
改葬と墓じまいの違いは下記の通りです。
- 改葬
-
お墓を今ある場所から別の場所に引っ越すこと
- 墓じまい
-
お墓を解体・撤去し更地にし、(お墓の使用権も含め)墓地管理者に返還すること。
墓じまいとは、墓石を取りこわし撤去し、墓地を管理者に返すことです。
一方、改葬とは「お墓の引っ越し」で、文字通りお墓(遺骨)を別の場所に移動させることを意味しています。
墓じまいはお墓を閉める行為のみを意味し、改葬は墓じまいを済ませて別の場所へお墓を引越しする流れ全体のことを意味する言葉なんです。
以上が、改葬と墓じまいの違いですが、厳密な意味合いは気にしなくてもOKですよ。
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改葬にかかる費用・相場
改葬にかかる費用相場は30~250万円ほどです。
費用の内訳を下記にまとめます。
改葬にかかる費用・相場 | |
---|---|
合計 | 30~250万円程度 |
墓石の解体・撤去 | 15万円~50万円程度 ※8~10万円/㎡程度 |
魂抜き | 3~10万円程度 |
離檀料 | 5~15万円程度 |
行政手続き | 数百円~1,000円程度 |
新しい供養先 | 5万円~150万円 |
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墓石の解体・撤去
墓石の解体・撤去にかかる費用は15~50万円ほどが相場です。
1㎡(1m×1m)あたり8~15万円ほどが相場になる場合が一般的です。
しかし、墓地の立地や広さ、墓石の大きさによっても費用は変動します。
また、解体・撤去にかかる人数、重機・特殊器具の使用によっては、費用が高額になる場合もあります。
※墓石自体を移す場合は、引越し費用が必要なので、遠方の場合高額になることもあります。
魂抜き
魂抜きには3~10万円ほどの費用が発生します。
魂抜きとは、閉眼供養(へいがんくよう)または(へいげんくよう)とも呼ばれます。
魂抜きは、お墓を解体・撤去する際に「お墓から仏様の魂を抜くための儀式」のため、必ず必要な工程です。
魂抜きをおこなうお寺の住職さんへの、感謝の気持ちとしてお渡しするお布施のことです。
離壇料
離壇料は5~15万円ほどが相場です。
離壇料が発生するのは、お寺の境内にお墓を立てている場合です。
寺院墓地において、墓じまいを行うと、お寺の檀家もやめることになります。
そのため、住職さんへこれまでの感謝の気持ちとして包むお布施が離壇料なのです。
離壇料の相場に決まりはありませんが、離檀料を渡さないと改葬手続きがスムーズに進まないことがあります。
なお、離檀料をはじめ、墓じまいのお布施の費用相場を下記記事でまとめています。
行政手続き
改葬手続きのなかには役所等の自治体への手続きが必要になります。
手続きにかかる費用が数百円~1,000円程度です。
なお、改葬手続きに必要な書類は下記のとおり。
改葬(墓じまい)に必要な書類 | |
---|---|
改葬許可申請書 | 墓地のある自治体役所にて発行 |
埋蔵証明書 | 現在の墓地管理者が発行 |
受入証明書 | 新しい遺骨の埋葬先にて発行 |
承諾書 | 墓地のある自治体役所にて発行 ※墓地の使用者と改葬許可申請者が異なる場合 |
申請者の身分証明書写し | 書類の申請者の身分証明として発行 |
発行手数料はかからないことが多いですが、住まいから遠い場合、郵送費用などに費用がかかります。
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新しい供養先
お墓を解体・撤去すると、遺骨を新しい場所に移す必要があります。
供養先を新しくするのにかかる費用が5~150万円ほどです。
なお、新しい供養方法には下記のようなものがあります。
供養先を新しくする費用 | |
---|---|
墓石のお墓 | 50~150万円 |
永代供養墓 | 10~100万円 |
合祀墓 | 3~30万円 |
納骨堂 | 30~100万円 |
樹木葬 | 10~100万円 |
散骨 | 5~30万円 |
手元供養 | 5~20万円 |
送骨 | 1~10万円 |
墓石のお墓|50~150万円
新しい供養先に墓石を建立する供養方法です。
現在ある墓石を引越ししたり、新しい墓石を建立する費用として50~150万円の費用が必要になります。
さらに、年間管理費として5千~1万円程度の負担も発生します。
永代供養墓|10~100万円
永代供養墓とは、霊園や寺院などが遺骨を管理する供養方法のこと。
永代供養にかかる費用は10~100万円ほどが相場になります。
お墓の継承者や親族の代わりに、霊園や寺院にお墓(遺骨)を管理してもらうので、高額費用が必要となるのです。
合祀墓|3~30万円
合祀墓とは、複数の遺骨を一か所にまとめて埋葬する供養方法のことです。
合祀募にかかる費用は3~30万円が相場です。
「 共同墓地 」とも呼ばれる合祀墓は、継承者が不要なので、もっとも費用を抑えられる供養方法と言えます。
なお、一度納骨すると、二度と遺骨を取り出すことができないので注意してください。
納骨堂|30~100万円
納骨堂とは屋内施設に遺骨を収蔵する供養方法のこと。
「ロッカー式」をはじめ「自動搬送式(マンション型)」「仏壇式」「位牌式」「棚式」「屋内に墓石を建てるスタイル」など、形式はさまざまです。
費用相場は30~100万円と高額ですが、継承者・跡継ぎが不要のため、近年人気となっています。
なお、下記記事では墓じまいして納骨堂する費用などを解説しています。
樹木葬|10~100万円
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木をシンボルとする供養方法のことです。
墓石自体が不要なので、費用相場は10~100万円と比較的安いのが魅力的です。
継承者・跡継ぎが不要なので、独身の方やご夫婦で利用するケースが多く、近年人気となっています。
散骨|3~30万円
散骨とは、遺骨を自然環境に還す供養方法です。
遺骨を粉骨して海や山などの自然に撒くのが散骨の主流ですが、最近では川、湖、砂漠、空、宇宙空間などへの散骨もあります。
費用は3~30万円と安いですが、一度散骨すると二度と遺骨を戻すことはできないので注意です。
なお、墓じまい後の散骨について、下記記事くわしく解説しています。
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手元供養|5~20万円
手元供養とは、自宅や身近な場所で遺骨を保管する供養方法です。
手元供養のツールとして、小さな骨壺やペンダント、アクセサリーなどに遺骨の一部を入れることも可能なので、おおきな墓石や墓地が不要です。
費用も5~20万円と比較的安い供養方法なので、最近では手元供養を選ぶ方が増加しています。
なお、下記記事では墓じまい後の手元供養についてくわしく解説しています。
送骨|1~10万円
送骨とは、遺骨をお寺や霊園に郵送して納骨するまでの流れのこと。
送骨したあとの納骨方法は主に4つです。
送骨後の納骨方法 | |||
---|---|---|---|
合祀墓 | 納骨堂 | (海洋)散骨 | 樹木葬 |
送骨する前に送骨後の納骨方法を決めておく必要があります。
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改葬の費用を安くするコツ【3選】
改葬にかかる費用は高額なので、費用を安くできたらうれしいですよね?
ここでは改葬にかかる費用を安くするコツを紹介します。
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1.複数の石材店から見積もりをとる
墓石を解体・撤去する際、複数の石材店から見積もりをとりましょう。
複数業者から相見積もり(あいみつもり)をとらないと、地域の改葬相場がわからなかったり、高額な業者と契約してしまったりするリスクがあります。
ただし、指定石材店のある民間霊園や寺院墓地では相見積もりをとることができないので注意してくださいね。
2.費用の安い供養先をえらぶ
遺骨の供養方法によって、改葬の費用がおおきく変わります。
予算に応じて供養方法をえらぶことで、改葬費用を抑えることができるのです。
なお、合葬や散骨、送骨をえらぶと費用を安く抑えられます。
※上記供養方法は費用は安いですが、遺骨を取り出すことが不可能なので、しっかり検討してください!
また、墓じまいの費用を抑える方法については下記記事でくわしく解説しています。
3.自治体の補助金を利用する
全国的に数は少ないですが、改葬の際、補助金を出してくれる自治体があります。
2024年現在、下記3か所の自治体で補助金を出していることが確認できました。
補助金の出る自治体 | ||
---|---|---|
千葉県浦安市 | 墓石撤去費等助成制度 | 浦安市公式サイト |
千葉県市川市 市川市霊園 | 千葉県市川市霊園 一般墓地返還促進事業 | 市川市公式サイト |
群馬県太田市 八王子山公園墓地 | 八王子山公園墓地 墓石撤去費用の助成金 | 太田市公式サイト |
なお、最新の補助金情報については、補助金・助成金のポータルサイト「スマート補助金」から調べてください。
また、下記記事でも改葬(=墓じまい)で補助金をもらえる自治体や手続きを紹介しています。
改葬の費用を払えないとき【対処法3選】
改葬の費用を払えない場合は、下記の対処法を検討してみましょう。
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家族・親族に協力してもらう
改葬費用を払えない場合、まず第一に家族や親族に相談しましょう。
お墓はあなた一人の所有物ではなく、家族・親族の共通物です。
あなた一人で改装費用を抱え込まず、家族・親族に費用を負担してもらいましょう。
相談する際は、10年後、20年後にお墓の管理がいかに大変になるかを順序だてて説明すると話がスムーズに進むでしょう。
メモリアルローンを組む
メモリアルローンを組むことも検討しましょう。
メモリアルローンとは、お墓や永代供養などの供養や祭祀に適用されるローンのこと。
一般的なローンとは異なり、年金収入だけでもローンを組める可能性のある(やや敷居の低い)制度です。
なお、墓じまいのメモリアルローンについては下記記事でもくわしく解説しています。
費用の安い供養方法をえらぶ
遺骨の供養方法によって、費用を抑えることも可能です。
たとえば、合祀墓や樹木葬、自治体が管理する共同墓などは、費用は3~30万円程度と比較的安い費用で供養できます。
一方、墓石自体を引越ししたり、新しい墓地に新しい墓石を建立したり、永代供養したりすると、50~150万円と費用が高額になります。
新しい供養方法をしっかり検討したうえで改葬を始めましょう。
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改葬の流れと手続き
改葬の流れと手続きを以下にまとめます。
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家族・親族に相談する
まずは改葬を進めるべきか、家族や親族に相談しましょう。
何よりもまず、家族・親族に許可をとってから改葬をスタートさせることが重要です。
もしも、相談もせずに改葬手続きを進めてしまうと、おおきなトラブルに発展する可能性があります。
身近な人とのトラブルを避けるため、まず最初に家族・親族に相談することから始めてください。
墓地管理者に相談する
つづいて墓地管理者に相談しましょう。
とくに、寺院が管理する墓地にお墓がある場合、改葬手続きを進める前に必ず寺院(住職さん)に相談してください。
ほとんどの住職さんは改葬に協力的ですが、なかには改葬に非協力的な住職さんもいるからです。
改葬手続きをスムーズに進めるため、墓地管理者への相談を欠かさないでください。
石材店から見積もりをとる
墓石の解体工事をするための見積もりを石材店からとりましょう。
見積もりをとる際は、2社以上から相見積もり(あいみつもり)をとることをオススメします。
なお、墓地や霊園が指定する石材店がある場合は、見積もりをとることはできません。
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新しい供養先を決める
遺骨の新しい供養先を決めましょう。
なぜなら、改葬すると、墓石のなかに納めている遺骨を取り出すことになるからです。
取り出した遺骨は別の場所で供養&納骨することが必要になります。
石材店と契約する
遺骨の新しい供養先が決まったら、見積もりをとっていた石材店と契約してください。
役所で改葬手続きをする
改葬を進めるためには、墓埋法で定められた書類手続きが必要になります。
手続きは墓地のある自治体・役所で行います。
改葬手続きに必要な書類は下記の通り。
改葬(墓じまい)に必要な書類 | |
---|---|
改葬許可申請書 | 墓地のある自治体役所にて発行 |
埋蔵証明書 | 現在の墓地管理者が発行 |
受入証明書 | 新しい遺骨の埋葬先にて発行 |
承諾書 | 墓地のある自治体役所にて発行 ※墓地の使用者と改葬許可申請者が異なる場合 |
申請者の身分証明書写し | 書類の申請者の身分証明として発行 |
改葬許可申請書が自治体に受理されると「改葬許可証」が発行されます。
改葬許可証が発行されると、遺骨を今ある墓地から別の場所に移すことができるようになります。
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お墓を解体・撤去し、墓地を返還する
役所から改葬許可証が発行されたら、墓石の解体工事および魂抜きの日程を決めましょう。
日程が決まったら、石材店に墓石を撤去・解体してもらいます。
墓地を更地にできたら墓地を墓地管理者に返還できます。
なお、遺骨は直接引き取ることもできますし、自宅に郵送してもらうことも可能です。
解体工事を担当する石材店に相談してみてください。
新しい供養先へ納骨する
墓石から取り出した遺骨を、新しい供養先に納骨または散骨します。
納骨が無事に終わると、改葬の工程がすべて完了です。
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改葬によくある質問【Q&A】
墓じまいに関してよくある質問をまとめました。
- 改葬とはなに?
-
改葬とは、お墓の引越しすることです。
今あるお墓から遺骨を取り出して、別の場所へ移すことを意味します。
- 改葬と墓じまいの違いは?
-
ほぼ同じ意味合いですが、下記ポイントが異なります。
- 改葬
-
お墓を今ある場所から別の場所に引っ越すこと
- 墓じまい
-
お墓を解体・撤去し更地にし、(お墓の使用権も含め)墓地管理者に返還すること。
改葬のなかに墓じまいが含まれるイメージですが、細かいことは気にしなくてOKですよ。
- もし改葬しなかったらどうなる?
-
お墓の継承者がいなければ無縁墓になります。
無縁墓になったお墓はやがて撤去され、遺骨は合祀されます。
- 改葬は誰がする?
-
お墓の継承者(使用者)が行います。
お墓の使用者とは、お墓の年間管理費などを払っている人になります。
ただし、改葬する際は、費用面などをひとりで抱え込まず、家族や親戚に相談しましょう。
- 改葬を勝手にしたらダメ?
-
勝手にしない方がよいです。
改葬を行う前に、必ず家族・親族に相談しておきましょう。
お墓の継承者が、改葬を”決断”することはできますが、関係者には事前に相談すべきなのです。
もしも、相談なしに墓じまいを行うと、トラブルに繋がる可能性が高くなります。
- 改葬すると墓石はどうなる?
-
墓石は撤去してしまうか、新しい納骨先へ引越しさせることになります。
- 改葬すると遺骨はどうなる?
-
遺骨は新しい納骨先へ移動することになります。
なお、散骨の場合は、遺骨を川や海に撒くことになります。
- 改葬の流れ・手続きは?
-
主な流れは下記のとおりです。
- 改葬後の供養方法はどうする?
-
改葬後の供養方法は下記のとおりです。
- 墓石のお墓
- 永代供養墓
- 合祀墓
- 納骨堂
- 樹木葬
- 散骨
- 手元供養
- 送骨
- 改葬に魂抜きは必要?
-
必ずしも必要ではありません。
公営墓地や共同墓地といった菩提寺がない場合、魂抜きをしないこともあります。
しかし、寺院墓地の墓じまいでは、100%と言っていいほど魂抜きを行います。
- 改葬に必要な書類は?
-
改葬(墓じまい)に必要な書類は下記のとおりです。
改葬(墓じまい)に必要な書類 改葬許可申請書 墓地のある自治体役所にて発行 埋蔵証明書 現在の墓地管理者が発行 受入証明書 新しい遺骨の埋葬先にて発行 承諾書 墓地のある自治体役所にて発行
※墓地の使用者と改葬許可申請者が異なる場合申請者の身分証明書写し 書類の申請者の身分証明として発行