墓じまいが増加する理由を解説!
- 墓じまいの件数データ
- 墓じまいが増加する背景&未来予測
- 墓じまいのメリット・デメリット
墓じまいが増加している理由がいろんな角度から理解できます。
10年でなんと2倍に増加している墓じまい。
なぜ、墓じまいの件数は増加しつづけているのか、本記事でいろんな角度から解説します。
墓じまいが増加する理由|墓じまいの全国件数と未来予測
近年、墓じまいは何件行われていると思いますか?
厚生労働省が公表する「衛生行政報告例」によると、2022年度には15万件以上の墓じまいが行われました。
下記グラフは2012年度から2022年度に行われた墓じまいの件数を表しています。
墓じまいの件数は、2012年度から10年で約2倍に増加しているのがわかります。
なお、2020、2021年度に墓じまいの件数が微減したのはコロナ禍の影響が考えられます。
コロナ禍が落ち着きを見せはじめた2022年度に、墓じまいの件数が急増しているのが根拠です。
ちなみに、2004年度の墓じまいの件数は6万8,421件なので、近年の墓じまいの件数がいかに増加しているかがわかります。
将来的にも、墓じまいの増加傾向は続くどころか、急増する可能性すらあります。
なぜ、墓じまいの件数は増加しているのでしょう?
次章で墓じまいが増加する理由を解説しますね。
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墓じまいが増加する理由【7選】
墓じまいの件数が増加する理由を7つ厳選しました。
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1.お墓を継承する人がいない
子どものいない夫婦、一人っ子の娘が嫁いだ、独身の方、実家に戻りたくないなどなど。
墓じまいが増加する理由のひとつに「お墓を継承する人がいない(減った)」ことが考えられます。
お墓を継承する人がいなければお墓がやがて無縁仏になってしまいます。
無縁墓になるのを避けるため、墓じまいする家が増えており、墓じまいの件数の増加につながっています。
2.お墓参りが困難になった
- 高齢になってからお墓参りがつらい、、、
- 地方までお墓参りに帰るのが大変…
- 猛暑の影響でお墓参りが危険…
上記のように、お墓参りが困難になったため墓じまいを進めるケースも増加しています。
3.お墓の維持・管理費を払えない
お墓を管理してもらうためには、寺院や霊園への維持・管理費が毎年発生します。
維持・管理費だけでなく、お墓参りの新幹線や飛行機などの交通費も大きな負担になっています。
今後一生つづく経済的負担を軽減するため、墓じまいを決断した方も増加しています。
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4.子どもにお墓を負担させたくない
お墓を継承すると、子ども・孫世代に経済的・物理的な負担を強いてしまいます。
お墓があることでのさまざまな負担を子ども世代に引き継がせたくないと考える方も増加しているのです。
とくに、お墓の管理に苦労した親世代が「子どもに迷惑をかけたくない」と考え、墓じまいを進めているケースも増加しています。
5.お墓に対する価値観が変わった
かつて、お墓といえば「家族全員が入るもの」「家系で代々引き継ぐもの」という価値観で統一されていました。
しかし時代は令和を迎え、人々の価値観は多様性をもちはじめています。
同時に、家や先祖という価値観も変わりつつあるのです。
“お墓があって当たり前”ではない時代が令和なのです。
このように、お墓に対する価値観が変わっていることが、墓じまいの増加につながっていると言えます。
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6. 墓じまいが注目されはじめた
近年の終活ブームも墓じまいの増加に拍車をかけています。
自分が死んだあとの状況を案じて、生前整理をはじめる人が増加しているのです。
終活ブームが墓じまいの増加の一因になっているのは確かと言えます。
また、新聞やネットニュース、書籍においても墓じまいの取り扱いが増加しています。
好むと好まざるとにかかわらず、誰しもお墓の今後を考えさせられる時代になっているのです。
7. お寺とのつながりが希薄
お寺とのつながりが希薄になっていることも墓じまいの増加につながっています。
これまでは法事や葬式などを通じて、お寺との関係が保たれていました。
しかし、檀家制度の形骸化が進んだ現代では、お寺の存在感が薄まっています。
都会住まいの方はとくに、お寺とのつきあいに負担を感じている方が多いです。
お寺から離檀して墓じまいをすすめる方が増加するのも無理はありません。
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墓じまいのメリット(良い点)
墓じまいするメリットを3つ厳選しました。
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お墓を管理する負担がなくなる
お墓参りや定期的なお墓の掃除など、お墓を所有していると身体的な負担がのしかかります。
墓地が遠方にあったり、自分自身が高齢になったり、40度近いなかのお墓参りなど、お墓の管理は極めておおきな負担になっています。
墓じまいをすることにより、お墓を管理する身体的な負担がなくなるメリットがあるのです。
経済的な負担が少なくなる
墓じまいをするためには一時的に経済的な負担がありますが、長期的に考えると、経済的負担が少なくなります。
たとえば、夫婦2人が東京から広島にお墓参りすると、交通費と宿泊費で10万円近くかかります。
お墓参りを10年間つづけると100万円の負担になることを考えると、墓じまいする方が経済的負担は減りますよね。
墓じまいしないでおくと、交通費・宿泊費だけでなくお墓の管理費やお寺への檀家料といった経済的負担が生涯継続されることになります。
継承者不在の不安がなくなる
子どものいない夫婦や、生涯独身の方、ひとりっ子の娘さんが嫁いだ方など、お墓の継承者がいない家は近年、増加しています。
お墓の継承者がいない場合、お墓が将来どうなるのか不安になりますよね。
しかし、墓じまいしてしまえば継承者不在の悩みが解消されます。
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墓じまいのデメリット(悪い点)
墓じまいするデメリットを3つ厳選しました。
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トラブルになる可能性がある
墓じまいのもっとも大きいデメリットは親族やお寺の住職とのトラブルです。
トラブルになってしまうポイントは以下の通り。
- 墓じまいの費用をだれが負担するのか
- 新しい納骨先をどこにするのか
- そもそも墓じまいを進めるべきなのか
- お寺の住職が離檀させてくれるのか
墓じまいを進める前に、親族やお寺の住職と話し合うことが大切なのです。
なお、墓じまいのトラブルと対策については下記記事でくわしく解説しています。
費用が高額になる場合がある
墓じまいには数十万円単位の費用がかかります。
どんなに安くても30万円、高額になると250万円ほど費用がかかる場合もあるのです。
なお、墓じまいの費用を抑える方法については下記記事でくわしく解説しています。
申請や手続きに手間がかかる
墓じまいを進めるには、さまざまな手続きや申請が必要になります。
家族・親族の同意だけでなく、お寺や自治体、墓地管理者や工事業者など、さまざまな人や業者と連携をとる手間が大きいのです。
次章では、墓じまいの流れや手続きをかんたんに解説します。
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墓じまいの流れ・手続きを解説
墓じまいの手続き・流れを8つのステップにわけて紹介します。
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家族・親族に相談する
まず最初に、墓じまいを進めるかどうか、家族や親族に相談しましょう。
家族・親族の同意をえてから墓じまいをスタートすることが何より重要です。
もしも、家族・親族に相談せずに墓じまいを進めてしまうと、後々おおきなトラブルに発展する可能性があります。
身近な人との予期せぬトラブルを避けるため、家族・親族に相談することから始めてください。
墓地管理者に相談する
つづいて墓地管理者に相談しましょう。
寺院が管理する墓地の場合、墓じまいを進める前に必ず寺院(住職さん)に相談してください。
住職さんの多くは墓じまいに協力的ですが、なかには墓じまいを許可したがらない住職さんもいるからです(お寺にとって、墓じまいは檀家さんの減少につながるからです)。
墓じまいをスムーズに進めるため、墓地管理者への相談を欠かしてはいけません。
石材店から見積もりをとる
墓石の解体工事をしてくれる石材店から、見積もりをとりましょう。
その際、2社以上の複数から見積もりをとることをオススメします。
なお、墓地や霊園が指定する石材店がある場合は、複数の見積もりをとることはできません。
新しい供養先を決める
遺骨の新しい供養先を決めましょう。
墓じまいすると、墓石のなかに納めてある遺骨を取り出すことになります。
取り出した遺骨は、別の場所で供養&納骨することとなるのです。
なお、遺骨の新しい供養先&費用には下記のようなものがあります。
遺骨の新しい供養方法&費用 | |
---|---|
墓石のお墓 | 50~150万円 |
永代供養墓 | 10~100万円 |
合祀墓 | 3~30万円 |
納骨堂 | 30~100万円 |
樹木葬 | 10~100万円 |
散骨 | 5~30万円 |
手元供養 | 5~20万円 |
送骨 | 1~10万円 |
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石材店と契約する
遺骨の新しい供養先が決まったら、見積もりをとっていた石材店と契約します。
値段の安さだけでなく、信頼できそうな石材店さんと契約しましょう。
役所で改葬手続きをする
墓じまいを進めるためには墓埋法で定められた書類手続きが必要です。
書類手続きは墓地がある自治体・役所で行います(郵送だけのやり取りも可能)。
墓じまいに必要な書類は下記の通り。
墓じまい(改葬)に必要な書類 | |
---|---|
改葬許可申請書 | 墓地のある自治体・役所にて発行 |
埋蔵証明書 | 現在の墓地管理者が発行 |
受入証明書 | 新しい遺骨の埋葬先(霊園や墓地)にて発行 |
承諾書 | 墓地のある自治体・役所にて発行 ※墓地の使用者と改葬許可申請者が異なる場合のみ |
申請者の身分証明書写し | 書類の申請者の身分証明として発行 |
役所・自治体にて改葬許可申請書が受理されると、1~2週間内に「改葬許可証」が発行されます。
改葬許可証が発行されてはじめて、遺骨を現在ある墓地から別の場所に移動できるようになるのです。
お墓を解体・撤去し、墓地を返還する
役所から改葬許可証が発行されたら、墓石の解体工事および魂抜きの日程を決めましょう。
日程が決まったら、石材店に墓石を撤去・解体してもらいます。
墓地を更地にしたうえで、墓地管理者に墓地を返還できたら完了です。
なお、遺骨は墓石の解体工事後に、直接引き取ることも可能ですし、自宅に郵送してもらうことも可能です。
解体工事前に、石材店に相談してみてください。
新しい供養先へ納骨する
墓石から取り出した遺骨を、新しい供養先に納骨(または散骨)します。
納骨が終わると、墓じまいのすべての工程が完了です。
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墓じまいが増加する理由【まとめ】
本記事では、墓じまいが増加している理由を解説しました。
墓じまいのメリットやデメリット、墓じまいの手続き・流れも紹介しているので、繰り返し読んでくださいね。
墓じまいのメリット&デメリット
なお、下記記事では「墓じまいとは?費用や手続き・流れ、トラブル」などを総合的にくわしく解説しています。