ヒビだらけで崩れそうなお墓
雑草に囲まれて姿が見えなくなったお墓
お墓参りに行ったとき長年放置されているお墓を見た経験はありませんか?
厚生労働省の調査データ(衛生行政報告例)によると、無縁墓の改葬(墓じまい)が行なわれた件数はここ10年で約2500~7500件(年間)。
改葬されていないお墓を含めると、全国で数万件以上のお墓が放置されていると考えられます。
ではなぜ、お墓は放置されてしまうのでしょう?
本記事では、「墓じまいせずお墓が放置されるとどうなるか?」を解説したうえで、お墓が放置される理由や墓じまいの流れも紹介します。
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墓じまいしないでお墓を放置するとどうなる?
墓じまいしないでお墓を放置するとどうなるのでしょう?
結論からお伝えすると、放置されたお墓はやがて解体されてしまいます。
放置されたお墓が解体されるまでの流れは以下の通りです。
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管理費の支払い通知が発行される
お墓が放置されたからと言って、すぐに解体・撤去されるわけではありません。
まずはお墓のある寺院や霊園からお墓の管理者へ、管理費の支払い通知が発行されます。
(入金がない場合)お墓に立札が建てられる
管理費の支払い通知はお墓の管理者に届けられますが、多くの場合、入金が滞ってしまいます。
納付期限までに入金がない場合、放置されたお墓に立札が立てられ、官報に名義人が公示されます。
墓石が解体される
管理費の支払い期限を経過し、さらに一定期間連絡がない場合、強制的にお墓から遺骨が取り出されます。
さらに、墓石自体も解体・撤去され、墓地が更地に戻されます。
墓地は墓地管理者(寺院や霊園)に返還され、お墓は跡形もなく無くなってしまうのです。
なお、引き取り手のない遺骨は合祀墓(ごうしぼ)に埋葬されます。
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お墓が放置される理由【4選】
お墓が放置されてしまう理由を4つ紹介します。
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高齢になりお墓参りできない
高齢になるとお墓参りに出かけるのも大変ですよね?
お盆やお彼岸など、猛暑の時期に行われるのがお墓参りです。
お墓まで行けたとしても、40度近いなか墓石の掃除までできないことが多いです。
暑さや体力の問題にくわえ、行動範囲が制限されることもお墓参りのハードルを上げています。
運転免許を所持しているうちは自家用車で移動できますが、高齢になると免許を返納するケースも増加しています。
このように、高齢になることでお墓参りができなくなり、やがてお墓が放置されはじめるのです。
お墓が自宅から遠い場所にある
お墓が遠方にあるため、やがて放置されることも多いです。
お墓が自宅近くにあれば問題ないですが、多くの方が帰省から墓参りまで1~2日かかるのが現実。
また、海外在住の方は、お墓参りのために一時帰国するのはハードルが高いです。
このように、自宅とお墓の距離が遠いと、健康上の問題がない方でも大きな障害となるのです。
お墓を建てた祖先は、子孫が地元から離れることを想定していません。
時代の流れがあるので仕方ないことですが、、、墓地の立地が障害となりお墓が放置されることは多々あるのです。
お墓の管理費が負担になっている
お墓の管理費は、年間1万円ほどが平均といわれています。
お寺の檀家になっている方は、地域や宗派によって1万円以上の費用を支払っている方もいます。
年に一度の支払いとはいえ、お墓の管理費を負担に感じている方も多いのが実情です。
お墓の後継者がいない
お墓の後継者がいなくなったらお墓が放置されることが確定します。
実際、日本の人口減少にともない、後継者不在で放置されてしまったお墓は急増しています。
後継者がいなくなる理由はさまざまです。
- 独身で兄弟姉妹に子どもがいない
- 子どもはいるが実家のお墓を継ぐ気がない
- 親戚のほとんどが故人となってしまった
もう一度お伝えしますが、後継者がいない場合、お墓は将来的に放置されます。
ご自身が存命のうちに、墓じまいすることを検討した方がよいでしょう。
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墓じまいするべき【3パターン】お墓を放置しない
墓じまいするべき3つのパターンを紹介します。
該当した方は、将来的にお墓を放置してしまわないように注意してください。
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①お墓の管理が負担に感じる
お墓の管理を負担に感じていませんか?
負担を感じる理由が健康面だとしても経済面だとしても、なるべく早めに墓じまいの準備を開始した方がよいです。
墓じまいにかかる費用や手間を考えると、面倒になってつい先延ばしにしがちです。
しかし、問題を放置して1年、3年、5年と経過すると、状況はさらに悪化します。
いまのうちに墓じまいを検討することをオススメします。
②子どもに迷惑をかけたくない
「わが子に面倒なことを押し付けたくない」と考えたことはありませんか?
お墓がある限り、毎年のお墓参りや維持・管理費用は永久的につづきます。
将来的に子どもに迷惑をかけないように、自分が元気なうちに墓じまいを実施する人も多いのです。
③お墓の後継者が不在
晩婚化や子どものいない家庭の増加で、お墓の後継者がいないケースも増えています。
「一人っ子で兄弟姉妹がいない」
「おじやおばなどの親戚がすでに亡くなっている」
「子どもはいるが実家を出て独立しており、別の場所にお墓を建てている」
このように、自分の代でお墓の管理者が途絶える人もいるでしょう。
後継者がいないとわかっているなら、今すぐにでも墓じまいを検討すべきなのです。
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墓じまいの流れ・手続き
墓じまいの流れや手続きをまとめます。
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家族・親族に相談する
まず最初に、墓じまいをすべきかどうか家族や親族に相談してください。
お墓はあなた一人のものではなく、家族・親族の共有物です。
また、もし、相談もせずに墓じまいを進めてしまうと、後々おおきなトラブルに発展する可能性もあります。
トラブルを避けるため、まず最初に家族・親族に相談することから始めてください。
墓地管理者に相談する
つづいて、墓地管理者に相談しておきましょう。
とくに、寺院が管理する墓地の場合、墓じまいを進める前に寺院(住職さん)に相談してください。
突然、墓じまいすることを住職さんに告げるのはNGです。
なぜなら住職さんのなかには、墓じまいを許可しない方もいるからです。
墓じまいをスムーズに進めるためにも、事前の相談は不可欠です。
解体工事の見積もりをとる
石材店から、墓石の解体・撤去工事の見積もりをとりましょう。
見積もりをとる際は、2社以上から見積もりをとることをオススメします。
なお、墓地や霊園が指定する石材店がある場合は、複数の見積もりをとることはできません。
新しい供養先を決める
墓じまいした後の、遺骨の供養先を決めましょう。
墓じまいすると、墓石に納めている遺骨を取り出し、別の場所で供養&納骨することが必要です。
なお、遺骨の新しい供養先には下記のようなものがあります。
供養先を新しくする費用 | |
---|---|
墓石のお墓 | 50~150万円 |
永代供養墓 | 10~100万円 |
合祀墓 | 3~30万円 |
納骨堂 | 30~100万円 |
樹木葬 | 10~100万円 |
散骨 | 5~30万円 |
手元供養 | 5~20万円 |
送骨 | 1~10万円 |
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解体工事の石材店と契約
遺骨の新しい供養先が決まったら、見積もりをとった石材店と契約します。
役所で改葬手続きをする
墓じまいをするためには墓埋法で定められた、行政上の手続きが必要になります。
手続き自体は、墓地のある自治体・役所で行います。
墓じまいに必要な書類は下記の通り。
墓じまい(改葬)に必要な書類 | |
---|---|
改葬許可申請書 | 墓地のある自治体役所にて発行 |
埋蔵証明書 | 現在の墓地管理者が発行 |
受入証明書 | 新しい遺骨の埋葬先にて発行 |
承諾書 | 墓地のある自治体役所にて発行 ※墓地の使用者と改葬許可申請者が異なる場合 |
申請者の身分証明書写し | 書類の申請者の身分証明として発行 |
改葬許可申請書が自治体に受理されると「改葬許可証」が発行されます。
改葬許可証が発行された段階で、遺骨を現在の墓地から新しい場所に移動できるようになるのです。
お墓を撤去・解体し、墓地を返還する
自治体から改葬許可がおりたら、工事および魂抜きの日程を決めましょう。
日程が決まったら、石材店に墓石を撤去・解体してもらいます。
墓地を更地にして、墓地管理者に墓地を返還したら墓じまいは完了です。
なお、取り出した遺骨は直接引き取ることもできますし、改葬先や自宅に郵送してもらうことも可能です。
新しい供養先へ納骨する
墓石から取り出した遺骨を、新しい供養先に納骨または散骨します。
納骨が無事におわると、墓じまいの工程がすべて完了です。
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お墓を放置するとどうなる【まとめ】墓じまいを前向きに検討しよう
少子・高齢化や経済的不安からお墓の放置が増えている日本。
なかには先祖代々のお墓を維持・管理できないと悩んでいる方も多いです。
お墓を放置したくないけど、お墓参りやお墓の管理も難しい。。。
そんな状況で困っているなら墓じまいを検討してみませんか?
墓じまいは、先祖に対して申し訳ないことではなく、立派な供養です。
お墓を放置し、無縁墓となり、そのうち撤去されるなら、あらかじめ墓じまいをおすすめします。
墓じまいとはなにか?費用や手続き・流れ、トラブル対策について下記記事でくわしく解説しています。
ぜひ参考にしてくださいね。